ガンゾの長財布がふさわしい男

『高品質』

この言葉はどんな物にも存在する。

私が提供しているお酒1つ取っても様々だ。

ワインしかり、ウィスキーしかり、
誰もが『高品質』の物を手にしたいと考える。

しかし時に『高品質』は使う人さえ選ぶ程の
雰囲気をかもし出している。

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「ガンゾの長財布が欲しいなー」

「そんなに欲しいなら買えばいいんじゃないですか?」

「そうなんだけど、踏ん切りがつかなくてね」

このお客様は年齢は28歳、
2~3ヶ月に1度位の頻度で当店を訪れる。
皮革製品が好きな様で私とも話が合い、
私も好印象を持っている若者だ。

「やっぱりある程度高品質の物を持つなら、
それなりの格好だとか、人となりが重要だと思うんだよね」

「まだ自分がガンゾの長財布を持つべき人間では無いと
言う事でしょうか?」

「だってそうでしょ?
高級品を持つにはまだ年齢が若いような気がするし、
スーツだって量販店で買った安物だよ。
せめてオーダーのスーツでも着ていなければかっこ悪いよ」

分相応と言う事だろう。
確かに安っぽいスーツや、
普段着でガンゾの長財布を持っていても
価値は半減されるだろう。

例えば私のバーは、いわゆる一般的なバーでどこにでもある。
このバーで高級ウィスキーの「マッカラン1926 60年物」を
用意しても注文する人は殆どいないだろう。

これだけの高級ウィスキーとなると、
会員制のバーなどで、
お店の雰囲気、バーテンの質、使うグラス、
全てにおいて最上級が求められるだろう。

このウィスキーが飲めれば何でも良いと言う訳ではない。

「なるほど、すばらしい考えをお持ちですね。
ではガンゾの長財布が似合う男になってから買うと言うことですね」

「そう、今はそれが目標なんだ。
でもガンゾの長財布だけじゃないよ、
『こだわりの物』が似合う男になりたいんだ」

「きっと貴方ならなれますよ。
お若いのに良いお考えです。
しかし逆の事も考えられますよ」

「逆の事?」

「そうです、
思い切ってガンゾの長財布を買うんです。
実際に買って、お金を使ってこそ、
ガンゾの長財布が似合う男を目指すんです。
買ってしまうと、それこそ似合う男を目指さざるを得なくなります」

「そうか、そう言う考えも確かにあるね。
実際に買ってしまえば、否が応でも男を磨かなければいけなくなる」

「そうです。それに高級品を買い揃えるとなると、
いっぺんに買うのは無理です。
少しずつ買い揃えていくと自然とそういう物が
似合うようになっていくものです」

「それはいい方法だね、
じゃあ思い切ってガンゾの長財布を買うようにするよ」

「まずは買ったからと言ってすぐに使わず、
フォーマルな場面で使うといいでしょう。
年齢的にも友人の結婚式なんかも多いでしょう。
そういった場面だけで使うようにするんです。
そして徐々にジョンロブの靴や、名刺入れ、
スーツ、Yシャツ、ネクタイ、ベルトなど
高品質なものを揃えていけば良いと思いますよ」

「よし、男を磨く決意をしたよ、マスターありがとう」

「では新しい門出に私から『マッカラン30年』を
プレゼントしますよ。
高級なお酒の味を知っておくのも良いと思います」

「え~マッカランの30年!ホントにいいんですか?」

「これをきっかけに、一流の男性になって頂ければ本望です
ただ、一流になったからと言って、このお店を忘れないで下さいね」

「うん、もちろんだよ、
おー、流石にマッカラン30年、風味が違う
このお酒に負けないだけの男を目指すよ」

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最近は高品質の物を1つだけしか持たない人が多い、
ガンゾの長財布もそうだが、
他にもベンツに乗っているのにヨレヨレの服、
ファッションブランドの服を着ているのにアパート暮らし、
リーデルの靴を履いているのに量販店のスーツなど
例を挙げれば切りが無い。

もちろんそのブランドが好きで持っているなら
それはそれで良いのだが、
自己満足で終わっていては、
それはお洒落ではないのです。

本当のお洒落とは、自分がどう思うか?では無く、
他人から見てどうか?が重要です。

しかしあくまでも他人の目を気にする
と言う事ではありません。
この辺がお洒落の難しさであったり、
楽しさでもあるといえるでしょう。

ガンゾの長財布の購入をお考えなら、
こう言った事も総合的に考えるのも
楽しみの1つです。



第二話 意外な自分

第三話 私が悪いの

第四話 もう一度だけ

最終話 回り道の末

特別編 彼女からのプレゼント



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